タニス・リー 『死せる者の書』


死せる者の書 (創元推理文庫)/タニス・リー

¥1,037
Amazon.co.jp



生者の、半生者の、蘇生者の、死なざる者の、そして死者の都パラディス。退廃と背徳の都の墓地に眠る死者の物語8編を収録。闇の女王タニス・リーの面目躍如たる傑作短編集。(Amazonより)




《平たい地球シリーズ》などで知られる幻想と怪奇の小説家タニス・リーの、《パラディスの秘録》四部作の三作目。


三作目とはいえ短編集なので、ここから読んでも問題ありません。



収録作は、


「鼬の花嫁」

「悪夢の物語」

「美しき淑女」

「モルカラの部屋」

「大理石の網目」

「世界の内にて失われ」

「硝子の短剣」

「月は仮面」




舞台となるのはパラディスという名の都市。


現実のパリに似た架空の都市で、何かに/誰かに心を乱され狂わされた者たちの狂騒を描く。



一言でいえば怪奇小説集だけど、そのバリエーションは様々。


処刑人に復讐を誓った男の白昼夢のような出来事……存在するだけで他人に死を振りまく女……足を踏み入れた者みな死んでいく部屋……幻想の理想郷をとうとう見つけた夢想家……意思を持つかのような仮面……などなど。



個人的なお気に入りは、「悪夢の物語」「美しき淑女」「モルカラの部屋」「硝子の短剣」「月は仮面」あたりか。



タニス・リーを読んだのはこれが初なので、他の作品にも挑戦したい。





この《パラディスの秘録》シリーズは、第四部の『狂える者の書』も刊行されており、絶版だった第一部第二部の『堕ちたる者の書』『幻獣の書』も復刊されるらしい。



特に『堕ちたる者の書』の評判が良いので、復刊されたら読むしか。