瑞智士記 『展翅少女人形館』


展翅少女人形館 (ハヤカワ文庫JA)/瑞智 士記

¥821
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人類が球体関節人形しか出産できなくなって数十年。この現象の謎を探る“機関”は、奇跡的に人の姿で誕生した少女たちをピレネー山中の修道院に隔離していた。バレエに打ちこむミラーナ、いまだ幼い泣き虫マリオン、人形細工師のフローリカ…三人の情熱と因縁のもつれが臨界に近づく頃、新たな客人が招かれる。だが、それは彼女たちの運命をより過酷にする新たな事件の幕開けだった―頽廃のゴシックSFファンタジー。(Amazonより)




あらすじにあるように、人類が球体関節人形しか出産できなくなった世界で、奇跡的に人間の形をとって生まれてきた少女たちを隔離している修道院が舞台。


本当の姉妹のようなミラーナ(表紙絵真ん中)とマリオン(表紙絵左のアリスっぽい子)に対し、誰とも心を通わせることのない孤高の人形細工師フローリカ(表紙絵黒髪)。



やたらと大仰で古めかしい言葉使いや、難しい漢字を多用する文体に最初は戸惑ったけど、意外と読みやすかった。


ちょっとリリウムっぽさを感じる設定だなーなんて思って読んでみて、やはりこれは舞台にでもしたほうが合うんじゃないかと思いました。



しかし、一章二章に対して、三章で急に雰囲気が変わるのは評価が分かれそう。


個人的には、二章までのミラーナとマリオンのやりとりをもっと見たかった。


三章の主人公はフローリカで、修道院に新しくやってきた世にも美しい半人半人形のビアンカの耽美な下僕となってしまった彼女に、読んでるこちらはどうすればいいのか困惑w


あんなにクールなやつだったのに、私をもっと責め苛んでくださいみたいなこと言い出したよ……。




でも、美しい少女たちと人形というモチーフは素晴らしかった。


少女はまさしく永遠になり、その美が損なわれることはないのだ。





こういった世界観が好きな人にはおススメです。


人は選ぶだろうけど、個人的には偏愛したい物語でした。