ケリー・リンク 『マジック・フォー・ビギナーズ』


マジック・フォー・ビギナーズ (ハヤカワepi文庫)/ケリー・リンク

¥1,080
Amazon.co.jp



『スペシャリストの帽子』に続く、第二短編集。



収録作は、

「妖精のハンドバッグ」

「ザ・ホルトラク」

「大砲」

「石の動物」

「猫の皮」

「いくつかのゾンビ不測事態対応策」

「大いなる離婚」

「マジック・フォー・ビギナーズ」

「しばしの沈黙」




多くのSF賞を受賞した作品だが、いわゆる《ストレンジ・フィクション》としてのSF。
その潮流としてエイミー・ベンダーやミランダ・ジュライなどがいるアメリカ文学の中で、よりSF的感性を持ったのがこのケリー・リンクなのだろう。



一言でいってしまえば、よくわからない、荒唐無稽な話である。


どこにでもある日常から出発した物語は、村をまるごとひとつ収めるハンドバッグや、コンビニを曲がった角にある異界への入り口、何かに取り憑かれた一家、不定期に放送されるテレビドラマの登場人物との現実的出会いなどなど、予測不可能な方向へ読者を連れていく。


どこかおかしくて、どこか不気味。
しかし何よりも切実な想いが、不思議と心に残る作品。




人によっては、意味不明で読むのが辛く感じられるかもしれない。


万人にススメられる本ではないけど、自分は好きですこういうの。





近年のアメリカに多い(らしい)こういった奇想文学派の中でも、リンクは飛び抜けてブッ飛んでいる印象。



つい最近、第三短編集『プリティ・モンスターズ』が発売され、そちらはヤングアダルト系の短編を集めたものらしいので、そちらのほうが読みやすいかも?


本作の中から「妖精のハンドバッグ」と「マジック・フォー・ビギナーズ」も収録されてます。


気になった方はどうぞ。
そちらは単行本なので、値段は高め(2700円)。