スティーヴン・キング 『キャリー』


キャリー (新潮文庫)/スティーヴン キング

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ご存知、ホラーの帝王(というか文学界の巨匠)スティーヴン・キングのデビュー長編である本書。


長らく絶版状態だったものの、去年、3度目になる映画化に伴って復刊されたのがこれ。




狂信的な母親の元で育った少女キャリーは、サイコキネシスを持つ超能力者だった。
遅い初潮と共にその能力に完全に目覚めたキャリーだが、彼女は学校でイジメに合っている。
そして運命の日、プロム(舞踏会)の夜に惨劇は起こった。





物語は、プロムの夜の惨劇後に、様々な文献やインタビューの声などで過去を振り返りつつ、キャリーの終局へと進む形で進行していく。



家では狂信的な母親に抑圧され、学校ではイジメられる日々。


そんなキャリーが遅い(そして無知だった)初潮を迎えたのをきっかけに、善意と悪意が人知れず交錯しながら破滅へと導かれていくのだ。



事件後に「怪物」として忌避されるキャリーも、その実は普通の幸せを願う女の子だった。


母親と普通の会話をして分かり合いたい。
友達と普通の会話をして笑い合いたい。


そんな彼女のささやかな願いは、一部の悪意と、自身の能力によって消え去る運命だった。



街をひとつ壊滅させるほどの暴走を見せたキャリーだけど(これは早い段階で明かされます)、どうにも可哀想でしかたない。


もう少しで幸せになれたかもしれないのに、運命はそれを許してはくれなかった……。




デビュー作といえど、キングの筆力は抜群。傑作です。







ちなみに自分、読了後に映画も見ました。


キャリー 2枚組ブルーレイ&DVD (初回生産限定)/クロエ・グレース・モレッツ,ジュリアン・ムーア,ポーシャ・ダブルデイ

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細かい設定などは本を読んでからのほうが理解が深まると思うけど、映画だけでも良い出来。


キャリー役のクロエ・グレース・モレッツが、イジメられっ子設定は無理あるんじゃね……と思うほど可愛いので、後半の悲劇的展開がより一層気の毒に感じられました。




可哀想なキャリー……。