綾辻行人 『水車館の殺人〈新装改訂版〉』


水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)/綾辻 行人

¥788
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新本格ミステリーの代表的作家、綾辻行人の《館シリーズ》第二作。



10年くらい前に旧版を読み、今また読み返したくなったのでこの〈新装改訂版〉を手に取った次第。


正直、旧版との違いはよくわからなかったものの、新本格な空気感がなんだか懐かしかったです。




仮面の当主と孤独な美少女が住まう異形の館、水車館。1年前の嵐の夜を悪夢に変えた不可解な惨劇が、今年も繰り返されるのか? 密室から消失した男の謎、そして幻想画家・藤沼一成の遺作「幻影群像」を巡る恐るべき秘密とは……!? 本格ミステリの復権を高らかに謳(うた)った「館」シリーズ第2弾、全面改訂の決定版!





これぞ本格ミステリー。


現実的に考えたらツッコミどころ満載の設定、だがそこが良い。


人里離れた奥地に建てられた特殊な館。
仮面を付けた当主、その妻である若くて美しい少女。


探偵役として、前作にも登場した島田潔が再び登場。


この島田潔という名前は、言うまでもなく島田荘司が生み出した名探偵・御手洗潔から取ったもの。



初読時は何も思わなかったが、この探偵、今読むとあまり魅力的ではないw


名探偵特有の万能感や個性的なキャラがあるわけでもなく、かといって地道に捜査と推理をして真相に至るタイプでもなく、わりとフツー。


だがまぁそれも作者の意図するところらしく、作品によって立ち位置が変わるらしいので仕方ないのか。





ミステリーとしては、飛びぬけた傑作というほどでもないが、端正な推理小説として楽しめる。


ただ個人的には、最後の最後に現出する幻想こそが本作の魅力だと思う。


このラストシーンを読みたくて、10年ぶりに再読したほどなので。



そこは読んでのお楽しみだけど、ロジックだけではない、後のホラー作品にも通ずる幻想的な美意識が垣間見える名場面をどうぞ。









この《館シリーズ》、だいぶ前に三作目の『迷路館の殺人』まで読んで以来、続きを読んでない。


そろそろ次の『人形館の殺人』を読み、Berryz工房のももちも好きだという『時計館の殺人』を読みたいところ。




そういえばももちは、綾辻さんとおとももちなんだよなぁ……いいなぁ……。(綾辻さんがどう思ってるかはわかりませんw)