中里友香 『カンパニュラの銀翼』


カンパニュラの銀翼/中里 友香

¥1,944
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第二回 アガサ・クリスティー賞受賞作。


作者はすでに、日本SF新人賞受賞作『黒十字サナトリウム』でデビューしているプロ作家だが、改めて新人賞を獲って再デビュー?となった人。




Amazonからあらすじを拝借。


1920年代後半の英国―エリオットには秘密があった。資産家の子息の替え玉として名門大学で学び、目が見えなくなった「血のつながらない妹」のため、実の兄のふりをして通いつめる日々。そんなエリオットの元に、シグモンド・ヴェルティゴという見目麗しき一人の男が現れる。物憂い眩暈。エレガントな悪徳。高貴な血に潜んでいる病んだ「真実」―精緻な知に彩られた、めくるめく浪漫物語。第2回アガサ・クリスティー賞受賞作。




ミステリーの新人賞とはいえ、本作は伝奇・ファンタジー・SF要素もふんだんに盛り込んだ、ジャンルレスのエンターテインメントとなっている。



その最大の特徴は、なんといっても文体。


翻訳調でありつつも、それ以上に流麗で装飾過多。


スッキリした文章に直せばこの2/3くらいの分量に収まりそうなほど饒舌な文体が、そのおかげで雰囲気のある欧州浪漫小説になっている。



2人の男と2人の偽兄妹による流浪の物語は、萩尾望都の絵柄がよく似合いそうに耽美で哀しい。



読むのに少々時間はかかったけど、なかなかの傑作でした。