恩田陸 『ねじの回転-FEBRUARY MOMENT』
ねじの回転―February moment (上) (集英社文庫)/恩田 陸

¥514
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ねじの回転―February moment (下) (集英社文庫)/恩田 陸

¥494
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一言で云うなら、二・二六事件を題材に恩田陸が描いた歴史改変パラレルワールドパンデミック時間SF。
時間遡行技術を発見し過去に行けるようになった人類は、とある歴史を改変してしまったために人類絶滅の引き金を引いてしまう。
それを阻止すべく時間を遡り、《シンデレラの靴》と呼ばれる機械を使って歪んだ歴史を「再生」し直して正史通りに「確定」するプロジェクトが行われた。
プロジェクトの最後に残されたのは、日本の二・二六事件。
事件に深く関わる歴史上の人物、安藤輝三・栗原安秀・石原莞爾の3名が「ピリオド」となり、事情を説明された上で新たな歴史のやり直しを図る。
というのがまず本書の設定。
物語は、安藤ら決起軍がいざ標的へと向かう瞬間から始まる。
ちょいと設定が複雑で、歪んだ歴史を正しい歴史に確定し直すためにてんやわんやする2000年代からやってきたプロジェクトチームと、時間を巻き戻されて未来人からピリオド(事情を知り連絡機を持つ人間)となることをお願いされた3人の歴史上の人物たちの確定作業が最初はほぼ説明なしで展開されていく。
もちろん読み進めるうちに、段々と理解していく仕組み。
「再生」に不手際が……例えば正史では本来起こることのない事象が発生した場合には『不一致』となり、再生が中断され、不一致以前に遡ってまたやり直しになる。
しかし正史通りに再生しているのに、どんどんズレ始める歴史。なぜか『不一致』にならない謎。
これが最高に面白い。
なぜ正史通りにならないのか。
ならないのに、『不一致』にならずにそのまま違う歴史が「確定」されていく。
《シンデレラの靴》の故障なのか、あるいは意図的に、基準となる歴史が書き換えられてしまったのか。
などなど、一難去ってまた一難が続く、飽きのこないストーリー運びは著者の中でも随一だ。
ホントにこれはめちゃくちゃ面白いので、↑の説明が下手すぎてちんぷんかんぷんだったとしてもとりあえず読んでみよう。
昭和史が苦手でも大丈夫。
SFが苦手でも問題ない。
一度読み始めたら最後、終わりまでノンストップで読み続けてしまうこと間違いなし。
実に楽しい読書体験だった。
こんな傑作を今まで読んでなかったとは……不覚。
ねじの回転―February moment (上) (集英社文庫)/恩田 陸

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一言で云うなら、二・二六事件を題材に恩田陸が描いた歴史改変パラレルワールドパンデミック時間SF。
時間遡行技術を発見し過去に行けるようになった人類は、とある歴史を改変してしまったために人類絶滅の引き金を引いてしまう。
それを阻止すべく時間を遡り、《シンデレラの靴》と呼ばれる機械を使って歪んだ歴史を「再生」し直して正史通りに「確定」するプロジェクトが行われた。
プロジェクトの最後に残されたのは、日本の二・二六事件。
事件に深く関わる歴史上の人物、安藤輝三・栗原安秀・石原莞爾の3名が「ピリオド」となり、事情を説明された上で新たな歴史のやり直しを図る。
というのがまず本書の設定。
物語は、安藤ら決起軍がいざ標的へと向かう瞬間から始まる。
ちょいと設定が複雑で、歪んだ歴史を正しい歴史に確定し直すためにてんやわんやする2000年代からやってきたプロジェクトチームと、時間を巻き戻されて未来人からピリオド(事情を知り連絡機を持つ人間)となることをお願いされた3人の歴史上の人物たちの確定作業が最初はほぼ説明なしで展開されていく。
もちろん読み進めるうちに、段々と理解していく仕組み。
「再生」に不手際が……例えば正史では本来起こることのない事象が発生した場合には『不一致』となり、再生が中断され、不一致以前に遡ってまたやり直しになる。
しかし正史通りに再生しているのに、どんどんズレ始める歴史。なぜか『不一致』にならない謎。
これが最高に面白い。
なぜ正史通りにならないのか。
ならないのに、『不一致』にならずにそのまま違う歴史が「確定」されていく。
《シンデレラの靴》の故障なのか、あるいは意図的に、基準となる歴史が書き換えられてしまったのか。
などなど、一難去ってまた一難が続く、飽きのこないストーリー運びは著者の中でも随一だ。
ホントにこれはめちゃくちゃ面白いので、↑の説明が下手すぎてちんぷんかんぷんだったとしてもとりあえず読んでみよう。
昭和史が苦手でも大丈夫。
SFが苦手でも問題ない。
一度読み始めたら最後、終わりまでノンストップで読み続けてしまうこと間違いなし。
実に楽しい読書体験だった。
こんな傑作を今まで読んでなかったとは……不覚。