アガサ・クリスティー 『そして誰もいなくなった』


そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/アガサ・クリスティー

¥821
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この書名を聞いたことがない人はいないだろう……というのはやや大げさだが、そう言ってしまってもいいほどに有名な古典ミステリーの傑作である。




兵隊島と呼ばれる孤島に招かれた十人の登場人物たち。


童謡の内容と同じ手口で次々と殺されていき、少しずつ減っていくインディアン人形。




もはや同様の形式は多用されすぎてなんの新鮮味もないが、この作品こそがそのお手本となったもの。


存在そのものが伝説な、永遠の名作だ。





そんな名作を今さら読んでみました。


これが普通に面白い。


緊迫感溢れるサスペンス、姿の見えない犯人の恐怖、真相が判明したときの驚き。


ミステリーに必要な要素が、古びずに現存している。


後半なんてさながらホラー小説のようでもあり、夜中に読むと結構恐い。




一時は「ミステリとしては叙述がアンフェアだ」という批判もあったらしいけど、どうやら今は、それは訳のミスであり、極めてフェアな本格ミステリであることが証明されているからご安心を。(この新訳版はなんのミスもありません)




現代作品に慣れてしまうとなんとなく食わず嫌いしがちだが、一度は読んでおきたい傑作。