法月綸太郎 『ノックス・マシン』


ノックス・マシン/法月 綸太郎

¥1,620
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言わずと知れた本格ミステリ作家、法月綸太郎による奇想SF中短編。


『このミステリーがすごい!』国内編第一位を獲得した。





という説明だと、SFなのかミステリなのかどっちなのという感じだが、個人的にはSFだと思う。



とりあえず収録作。


「ノックス・マシン」

「引き立て役倶楽部の陰謀」

「バベルの牢獄」

「論理蒸発―ノックス・マシン2」




とはいえ「引き立て役~」は古典ミステリをよく知る人ほど楽しめるミステリだし、「ノックス・マシン」とその続編も、同じく古典ミステリを題材にしたものとなっているのでミステリマインドに溢れた作品と言える。


唯一、SFアンソロジー初出の「バベルの牢獄」は、純粋なSFかな。



つまり本書は、ミステリに造脂が深く、なおかつSFの理系的展開を楽しめる素養が必要な、ちょいとハードルが高いものと言えなくもない。



読書メーターのレビューを見てみると、案の定「古典ミステリに詳しければもっと楽しめたんだろうな」とか「SFが苦手なので辛かった……」などの感想が多い。


「このミス1位」というのが裏目に出てしまうんじゃないかと少々危惧している。




まぁSF好きでミステリも(古典はあんま読んでないけど知識はある)好きな自分としては充分楽しめましたよ。


実に素晴らしバカミス/バカSFで、よくまぁこんなアホなこと考え付くね~と絶賛したい。


ノックス場という独自の理論から、エラリー・クイーン『シャム双子の謎』の電子的燃焼をこじつけたのは思わず笑ってしまうくらい最高だった。





読後、SFよりも古典ミステリを読みたいと思える傑作でした。