小川一水 『天冥の標Ⅲ アウレーリア一統』
天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)/小川 一水

¥950
Amazon.co.jp
全10巻で完結予定の《天冥の標》シリーズ第三巻。
西暦2800年代の植民惑星を舞台に開幕した一巻、現代(201X年)を舞台にパンデミックSFを描いた二巻、そして今回はその間の2300年代の宇宙を舞台にしたスペースオペラである。
一巻で出てきた《海の一統》(アンチョークス)のご先祖様、《酸素いらず》(アンチ・オックス)の一統を率いる男の娘な美少年アダムスを主人公に、強襲砲艦エスレルが太陽系宇宙を駆け巡る。
《酸素いらず》とは文字通り、真空でも酸素を必要としない肉体に改造した人々の総称。
七大勢力の一つ《宇宙軍》(リカバラー)がこの種族だ。
そんな《酸素いらず》を率いるアダムスは、パッと見美少女、格好も女の子、でも本当は男の子というなんともアニメ的な主人公。
これだけで一部の層を惹きつけそうな設定ですネ←
物語は、二巻でその結成を語られた《救世群》(プラクティス)の住む惑星エウレカが宇宙海賊に襲撃されたことから始まる。
人類を滅ぼしかけた伝染病「冥王斑」の保菌者であり、そのウイルス抗体でもある故に人類全体から忌み嫌われると同時に保護されてもいる《救世群》の人々は、かつて木星の大赤斑で発見された、宇宙人のものと思われる古代遺跡ドロテア・ワットの探査記録を記した「ドロテア・レポート」を手に入れ、それを海賊に狙われたというわけだ。
ドロテア・ワットは途方もない電力を持つ動力炉であり、これを海賊の手に渡すわけにはいかない。
そんなこんなでアダムスは、海賊を追いかけて宇宙狭しと駆け巡ることになる。
単体のスペースオペラSFとしても抜群に面白いけど、シリーズ全体の謎が徐々に明らかになってくるのが実に楽しい。
謎の古代遺跡ドロテア・ワットとはなんなのか。誰が作り、木星に置いたのか。
巻の末尾に出てくる断章四は、あの被展開体《ダダー》の独白である。なんとも興味深い。
冥王斑の根源?でもあるもうひとつの被展開体、通称《ミスチフ》との因縁も気になるところ。
一、二巻を読んでないとなんのこっちゃさっぱりでしょうが、とにかく面白いシリーズだからぜひ読んだほうがいい。
今の日本SFで一つだけ読むとしたら、とりあえずこのシリーズさえ読んでおけば間違いないでしょう。(全10巻、10冊以上になるけど)
最高に面白いこのシリーズ。
次は第四巻『機械じかけの子息たち』に続く……。
天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)/小川 一水

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全10巻で完結予定の《天冥の標》シリーズ第三巻。
西暦2800年代の植民惑星を舞台に開幕した一巻、現代(201X年)を舞台にパンデミックSFを描いた二巻、そして今回はその間の2300年代の宇宙を舞台にしたスペースオペラである。
一巻で出てきた《海の一統》(アンチョークス)のご先祖様、《酸素いらず》(アンチ・オックス)の一統を率いる男の娘な美少年アダムスを主人公に、強襲砲艦エスレルが太陽系宇宙を駆け巡る。
《酸素いらず》とは文字通り、真空でも酸素を必要としない肉体に改造した人々の総称。
七大勢力の一つ《宇宙軍》(リカバラー)がこの種族だ。
そんな《酸素いらず》を率いるアダムスは、パッと見美少女、格好も女の子、でも本当は男の子というなんともアニメ的な主人公。
これだけで一部の層を惹きつけそうな設定ですネ←
物語は、二巻でその結成を語られた《救世群》(プラクティス)の住む惑星エウレカが宇宙海賊に襲撃されたことから始まる。
人類を滅ぼしかけた伝染病「冥王斑」の保菌者であり、そのウイルス抗体でもある故に人類全体から忌み嫌われると同時に保護されてもいる《救世群》の人々は、かつて木星の大赤斑で発見された、宇宙人のものと思われる古代遺跡ドロテア・ワットの探査記録を記した「ドロテア・レポート」を手に入れ、それを海賊に狙われたというわけだ。
ドロテア・ワットは途方もない電力を持つ動力炉であり、これを海賊の手に渡すわけにはいかない。
そんなこんなでアダムスは、海賊を追いかけて宇宙狭しと駆け巡ることになる。
単体のスペースオペラSFとしても抜群に面白いけど、シリーズ全体の謎が徐々に明らかになってくるのが実に楽しい。
謎の古代遺跡ドロテア・ワットとはなんなのか。誰が作り、木星に置いたのか。
巻の末尾に出てくる断章四は、あの被展開体《ダダー》の独白である。なんとも興味深い。
冥王斑の根源?でもあるもうひとつの被展開体、通称《ミスチフ》との因縁も気になるところ。
一、二巻を読んでないとなんのこっちゃさっぱりでしょうが、とにかく面白いシリーズだからぜひ読んだほうがいい。
今の日本SFで一つだけ読むとしたら、とりあえずこのシリーズさえ読んでおけば間違いないでしょう。(全10巻、10冊以上になるけど)
最高に面白いこのシリーズ。
次は第四巻『機械じかけの子息たち』に続く……。