近藤史恵 『あなたに贈るX(キス)』


あなたに贈る×(キス)[新装版]/近藤 史恵

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『サクリファイス』で一躍有名になった著者の、ヤングアダルト向けミステリー。



ヤングアダルト向けだからと見くびっていたら、これがなかなかどうして素晴らしい。




刊行当時(2010年)から見れば近未来。なんと今年2013年に、病原体を持つキャリアとキスをすることによって致死率100%の病「ソムノスフォビア」に感染してしまう恐ろしい病気が発見された。


時は流れて(今度こそ)近未来、主人公の美詩は全寮制の高校に通う女子高生。


キスが禁じらた世界で、憧れの先輩(女子)がソムノスフォビアに感染して死んだ。


先輩の死を受け入れられない美詩は、誰が先輩を死に追いやったのか……「キスした」のかを突き止めるべく調査を始める。





と、あらすじとしてはよくある学園ミステリーに、ちょっとしたSF風味を付けたしたようなもの。


中盤までの展開も、まぁよくある感じだし、主役の美詩ちゃんがちょいとセンチメンタルで感情的すぎるのがたまにイラつくw



しかし終盤の怒涛の展開は、さすがベテランミステリー作家。


悲劇的であり、ロマンティックでもある真相は見事で、そのあとのブラックな展開も良い。



それにしても美詩ちゃんは、色んな人からモテモテである。


ちょいちょい「可愛い顔して○○」とか「カワイイちゃん」とか言われてもいるので、よっぽど可愛いに違いないw



描写的には、死んだ憧れの先輩が世にも美しい感じで書かれてはいるけど、「可愛いって罪」を地でいってる美詩ちゃんがすべての発端であるのはなんとも少女漫画的である。




というわけで、短めの本だけどおススメです。








ちなみにこの本は、最初は理論社という出版社から刊行されて、自分が読んだのもそちらの版。


あなたに贈るキス (ミステリーYA!)/近藤 史恵

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これね。


しかし理論社が潰れてしまい、この版は事実上絶版。


それを受けてPHP出版が新たに新装版を刊行したので、今から読む人は最初に貼ったPHP版をお探しください。