ボストン・テラン 『神は銃弾』


神は銃弾 (文春文庫)/ボストン テラン

¥870
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かつて「このミステリーがすごい!」で第1位を獲得した傑作ノワールミステリー。




いかれたカルト集団に元妻とその旦那を惨殺され、娘を誘拐されてしまったボブ。


そのカルト集団に昔所属していたジャンキー女ケイスと共に、娘を奪還すべく旅に出るという話。





筋立ては単純だけど、とにかく密度が濃い濃い。


「~する」という現在系文体で語られる物語は、血と暴力と愛液と精液で満たされている。


ミステリーとは言ったものの、どこか純文学の香りもする不思議な作風。




娘を誘拐したカルト集団のボス、サイラスの悪のカリスマ的描写はなかなか良い。


どこまでも残酷で無慈悲なこの世界の象徴のようでもある。





小説としては、冒頭で盛り上がり、中盤のボブとケイスの喧嘩しまくり道中はやや冗長。
サイラス一味とぶつかったところは一気にページが進むものの、後半になってまた失速。


面白ったけど、どこか疲れる読書だったよ。



やはりただのノワールとかミステリーだと思って読まないほうがよかったのかもしれない。




《暴力の詩人》とも呼ばれる著者の、荒削りなデビュー作。


万人におススメはできないけど、荒々しい何かが心に残る作品でした。