スティーヴン・キング 『シャイニング』


シャイニング〈上〉 (文春文庫)/スティーヴン キング

¥890
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モダンホラーの帝王キングの初期長編作品。


キューブリック監督が撮った映画の原作としても有名だけど、キング本人はあの映画が気に入っておらず、あとから自分で撮りなおしたらしい。






冬になると一面雪に覆われて絶海の孤島と化すホテル《オーバールック》。
そこの冬季管理人の仕事を手に入れたジャックは、妻のウェンディと5歳の息子ダニーと共に、冬の間だけこのホテルに住み込むこととなった。


しかしジャックは癇癪持ちのアルコール依存症であり、一方息子のダニーは〈かがやき〉と呼ばれる特殊な能力を有していた。


時に未来を視たり、時に他人の心を読んだり。
ダニーはその能力で、ある場所で、ある怪物が自分を襲ってくる光景を見た。


そこにたびたび現れるキーワード「レドラム」とは一体なんなのか。


実際にそのホテルにやってきた一家は、やがて恐ろしい体験をすることになる……。






簡単に言えば、幽霊ホテルの話。


だがこれは「ホテルに幽霊が住み着いている」のではなく、「ホテルそのものが幽霊であり、悪意の塊」なのだ。


血生臭い歴史を持つホテル。過去に良からぬことが起きたこともあるホテル。


そんなホテルのおぞましい悪意が、3人を苦しめ、追い詰めていく。


そしてついに父親のジャックがホテルに凋落され、非人間的な怪物となって妻と息子を襲い始めることに……。







上下巻の本だけど、上巻は一週間以上かかったにも関わらず、下巻は1日で一気呵成に読了w


なので、上巻で退屈だと感じても、ちゃんと下巻まで読むように。


後半の展開はもうハラハラドキドキで、ページを捲る手が止まらないとはこのことかと。



キングはとにかくネチっこい描写が多くて、ともすればすぐに脱線し「そんな話はどうでもいいから物語を進めてくれ」と思うこともしばしば。


しかし最後までちゃんと読めば、それらのほとんどが必要な描写だったことに気付く。


これこそがキング。
圧倒的な、読者を一度掴んだら離さない脅威の筆力。





入手のしやすさなども含めて、初めてキングの長編を読んでみようと思った人には最適の傑作です。