西尾維新 『×××HOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル』


xxxHOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル (講談社文庫)/西尾 維新

¥680
Amazon.co.jp




数年ぶりに再読。



人気小説家 西尾維新が、同じく人気漫画家 CLAMPの代表作『×××HOLiC』をノベライゼーションした話題作。




単行本刊行時、自分は西尾維新しか知らず、この漫画は知らなかった。


でもこのノベライズのおかげで『HOLiC』とそれに連なる『ツバサ』を知ることができたので、この本には感謝しております。




中身は3編の中編から成る。


第一話 「アウターホリック」

第二話 「アンダーホリック」

第三話 「アフターホリック」




一話はややHOLiC寄りの話。


二話はHOLiCと西尾維新がちょうどよくブレンドされた感。


三話は西尾色がかなり強い。




どちらかの作者(作品)のファンにとっては物足りない部分もあるかもしれないが、両方のファンとしては充分満足できる傑作。


このコラボはかなり相性が良いんじゃないかと思うので、第二弾なんかもやってほしかったんだけど、そうなる前に『HOLiC』が完結してしまったのであった……。






それにしても第一話のメインテーマ「幸せを享受できない」というのは、個人的によくわかる。


作中で描かれるほど極端ではないけど、この気持ちわかるわ~。


幸せなことが起きれば起きるほど、なんとなく後ろめたい気分になってしまうのよね……。



この本に言わせれば、それは自分が正当な対価を支払っていないから感じるものなのかもしれない。


ただのラッキーどころか、誰かから、何かからの搾取のように感じてしまうから。



あるいは、この僥倖に対する対価はそれなりに支払っているのに、恐がって品物のほうを受け取ろうとしない「契約破棄」なのだろうか。




などなど考えてしまいます。







西尾維新もHOLiCも知らなくても楽しめる(たぶん)作品なのでご安心を。


まぁ知ってたほうがより楽しめるのは確かでしょうけど。