辻村深月 『ふちなしのかがみ』


ふちなしのかがみ (角川文庫)/辻村 深月

¥620
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直木賞作家 辻村深月のホラー短編集。




収録作は、


「踊り場の花子」

「ブランコをこぐ足」

「おとうさん、したいがあるよ」

「ふちなしのかがみ」

「八月の天変地異」


の5編。




最後の「八月の天変地異」以外はどれもホラー。


世にも奇妙な物語の原作になりそうな雰囲気である。(実際どれかの短編が原作になったという話も聞いたけど、見てないのでわからず)




一番わかりやすく恐いのは最初の「踊り場の花子」かな。
これはいかにもホラーっぽい。



反対に「ブランコをこぐ足」は、人間の醜悪さ、特に小学生という子供の残酷さやしたたかさを描いている。



「おとうさん、したいがあるよ」は、ちょっとコメディタッチなのかそうじゃないのか微妙な雰囲気の不条理ホラー。



表題作「ふちなしのかがみ」は、一言でいってしまえばサイコパスもの。



「八月の天変地異」だけやや異色で、「ブランコ~」にも似た小学生特有の残酷さの中に、ある一つの奇跡が起こった物語。
これは良い話でした。





全体的に、これといった盛り上がりはないものの、辻村深月なのでクオリティは水準以上。



夏の怪談噺としておススメです。(ってもう夏も終わりですが)