周木律 『眼球堂の殺人~The Book~』
眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社ノベルス)/周木 律

¥1,092
Amazon.co.jp
第47回メフィスト賞受賞作。
稀代の数学者・十和田只人と、彼を追いかける駆け出しのルポライター陸奥藍子が、超有名な天才建築家が自身で建てた家《眼球堂》に招待され、同じように集められた各界の天才たちと一夜を過ごす。
すると翌日、お約束の殺人事件が発生し、探偵役として十和田先生が頑張っちゃうというお話。
あらすじだけ見ても、2013年にデビューした新人の作品とは思えないほど古典的でオーソドックスな本格ミステリだとわかる。
帯の宣伝文句を書いたのは森博嗣だけど、森先生が「懐かしく思い出した。本格ミステリの潔さを」と云うくらいに懐かしの本格ミステリに仕上がっております。
まぁ確かに、悪くはない。
奇抜な建物、集められた天才たち、そしてラストのサプライズ。
どれもこれも楽しめるものではあるが、それ全部、とっくに先人ミステリ作家がやってるんだよねぇw
そこが最大の瑕疵。
オーソドックスとか懐かしいとか言えば聞こえはいいけど、あまりに古すぎる。ベタすぎる。
かといって、いかにも現代的な趣向があるのかといえばそうでもない。
すべてが類型的な「ザ・本格ミステリ」って感じ。
おまけに、文章があまり巧くない。
新人のデビュー作にそんなこと言うのも可哀想かもしれませんが、それにしたって会話文も地の文もやたらめったら説明口調で、お前らは演劇でもやってんのかよ、と。
一言で済むところを10行くらいで説明したり、なんとなく言いたいことはわかる、ということをいちいち「え、それはこうこうこういうことですか?」と繰り返させるのも鬱陶しい。
んなことわざわざ改めてしっかり言ってくんなくてもわかるっつうの。
なんでもかんでも1から10まで書けばいいってものではないでしょうに。
キャラも「天才」と云われてる割にはみんな凡庸で、まさかこの2013年に殺人事件如きで取り乱す人が見られるとは思わなかったよw
肝心の主人公・十和田先生も、奇矯ではあるけど魅力には乏しく、「僕は至高の書《ザ・ブック》が読みたいんだ」とか思わせぶりで意味不明なことを口走ってる割に結局それがなんなのかちっともわからない。
せめてもう少し《ザ・ブック》についての断片くらい見せてもよかったんじゃないか。副題にもなってるくらいなんだからさ。
……と、決して悪くはないんだけど、不満ばかりが出てきてしまう残念な一品。
せめてこれが20年くらい前に出た本なら、傑作と言えたかもしれないけど。
すでに二作目の『双孔堂の殺人』が出てますが、買うかどうかは微妙なところ。
まぁ気が向いたら。
途轍もなくベタな本格ミステリが読みたくなったら買うかも。
というわけで、「これが人生で初めて読む本格ミステリです」という読者なら楽しめるかもしれない本でした。
メフィスト賞って云われなければもう少し楽しめたのかもしれない……。
眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社ノベルス)/周木 律

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第47回メフィスト賞受賞作。
稀代の数学者・十和田只人と、彼を追いかける駆け出しのルポライター陸奥藍子が、超有名な天才建築家が自身で建てた家《眼球堂》に招待され、同じように集められた各界の天才たちと一夜を過ごす。
すると翌日、お約束の殺人事件が発生し、探偵役として十和田先生が頑張っちゃうというお話。
あらすじだけ見ても、2013年にデビューした新人の作品とは思えないほど古典的でオーソドックスな本格ミステリだとわかる。
帯の宣伝文句を書いたのは森博嗣だけど、森先生が「懐かしく思い出した。本格ミステリの潔さを」と云うくらいに懐かしの本格ミステリに仕上がっております。
まぁ確かに、悪くはない。
奇抜な建物、集められた天才たち、そしてラストのサプライズ。
どれもこれも楽しめるものではあるが、それ全部、とっくに先人ミステリ作家がやってるんだよねぇw
そこが最大の瑕疵。
オーソドックスとか懐かしいとか言えば聞こえはいいけど、あまりに古すぎる。ベタすぎる。
かといって、いかにも現代的な趣向があるのかといえばそうでもない。
すべてが類型的な「ザ・本格ミステリ」って感じ。
おまけに、文章があまり巧くない。
新人のデビュー作にそんなこと言うのも可哀想かもしれませんが、それにしたって会話文も地の文もやたらめったら説明口調で、お前らは演劇でもやってんのかよ、と。
一言で済むところを10行くらいで説明したり、なんとなく言いたいことはわかる、ということをいちいち「え、それはこうこうこういうことですか?」と繰り返させるのも鬱陶しい。
んなことわざわざ改めてしっかり言ってくんなくてもわかるっつうの。
なんでもかんでも1から10まで書けばいいってものではないでしょうに。
キャラも「天才」と云われてる割にはみんな凡庸で、まさかこの2013年に殺人事件如きで取り乱す人が見られるとは思わなかったよw
肝心の主人公・十和田先生も、奇矯ではあるけど魅力には乏しく、「僕は至高の書《ザ・ブック》が読みたいんだ」とか思わせぶりで意味不明なことを口走ってる割に結局それがなんなのかちっともわからない。
せめてもう少し《ザ・ブック》についての断片くらい見せてもよかったんじゃないか。副題にもなってるくらいなんだからさ。
……と、決して悪くはないんだけど、不満ばかりが出てきてしまう残念な一品。
せめてこれが20年くらい前に出た本なら、傑作と言えたかもしれないけど。
すでに二作目の『双孔堂の殺人』が出てますが、買うかどうかは微妙なところ。
まぁ気が向いたら。
途轍もなくベタな本格ミステリが読みたくなったら買うかも。
というわけで、「これが人生で初めて読む本格ミステリです」という読者なら楽しめるかもしれない本でした。
メフィスト賞って云われなければもう少し楽しめたのかもしれない……。