長沢樹 『夏服パースペクティヴ』


夏服パースペクティヴ (樋口真由“消失”シリーズ)/長沢 樹

¥1,785
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『消失グラデーション』で横溝正史ミステリ大賞を受賞してデビューした著者の2作目。


前回に引き続き、樋口真由が主人公というか探偵役のシリーズだけど、時系列的には前作より過去の話。


なので、こちらから読んでも大丈夫。
自分も前作の内容ほとんど忘れてたし。




あらすじはめんどくさいから省くとして(Amazon等でご確認ください)、個人的には前作より面白かったかな。


キャラも立ってるし会話文も達者だし、随所にセンスを感じさせる。


メタメタ構造も、ミステリ的には良い効果を生んでると思う。



ただ、やたら状況描写が多くて、テンポが悪くなるのは瑕疵。


後半の謎解きシーンやクライマックスになってもテンポは悪いままで、もうちゃんと読むのがもどかしくて若干飛ばし読みしてしまったw



そしてこれは著者の趣味なのか、シビアでストイックな女性キャラが多い。


それが作風にも反映され、良くも悪くも「リアル」な臨場感がある。


でもそのリアルさのせいで、フィクションとしての魅力が減じてしまってる感アリ。


もうちょい肩の力を抜いて書けばよかったのになー、と思いました。



筋は良いのに、使い方が間違ってるような感じ。




結果、面白いんだけど余計なものも多かった印象なので、次回作に期待したいところ。



事件そのものは、何気に重いものでした。


うーむ、みんな大変な過去を背負ってるのねぇ。