恩田陸 『クレオパトラの夢』



クレオパトラの夢 (双葉文庫)/恩田 陸
¥600
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同じ版元から出てる『MAZE』の続編。



続編と言っても主人公の神原恵弥というキャラクターくらいしか共通点はないので、こちらから読んでも大丈夫。




久しぶりに日本に帰ってきた恵弥は、北海道のH市に双子の妹を迎えにいく。



そこで繰り広げられるあんなことやこんなこと。




いやごめん、これはあらすじを説明してもしょうがないタイプの話なのです。



妹の和見の不倫問題が主題かと思いきや、徐々に話はキナ臭い方向へ進み、《クレオパトラ》という謎のもの(物なのか人なのかすら謎)を追い求めていくようになる。




この本で楽しむべきなのは、主人公の恵弥というキャラと、北海道の旅情だ。



まず恵弥は、男である。



しかし話す言葉は女性のそれ。



ありていに言ってしまえば、オネェキャラというやつか。



だけど決してイロモノにはならず、読者はこの恵弥という人物が好きにならずにはいられないでしょう。



実におもしろい。

現実にいたら、友達にはなれなくても、知り合いくらいにはなりたい魅力がある。



もっとも、恵弥の審美眼にこちらが適えばの話だけど。




そして北海道。冬の北海道。



H市と表記してあるけど、まぁこれは間違いなく函館市だよね。

「G稜郭」なんて名所まで出てきますのでw




そんな、恵弥と北海道の魅力を楽しみつつ、《クレオパトラ》の謎を追っていくのがこの本の正しい読み方である。







これ読んだら、また前作『MAZE』を読み返したくなってきたなぁ。