平山瑞穂 『全世界のデボラ』



全世界のデボラ (想像力の文学)/平山 瑞穂
¥1,890
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一作ごとに作風が変わることでおなじみの平山瑞穂による、ちょっと不思議で変な世界の短編集。




書下ろしの一編を除いてすべてがSFマガジン初出だけど、SFというよりホラーファンタジー……いやそれも違うか。幻想文学というほど格調高いわけでもないし、ストレンジフィクションというかなんというか、「変な話」というのが一番しっくりくる。




収録作は、



「野天の人」


「十月二十一日の海」


「精を放つ樹木」


「均衡点」


「棕櫚の名を」


「駆除する人々」


「全世界のデボラ」





どの話も茫洋として、明確なオチはない。



でもそれが妙に居心地が良くて、この雰囲気を天気で例えるなら「今にも雨が降りそうな曇天」といった感じ。



個人的には、「野天の人」「十月二十一日の海」「棕櫚の名を」が好き。




この中では「均衡点」が微妙に異色で、ユーモラスに描いてないのにどことなくユーモラスになってる変な話。



『夜にも奇妙な物語』に、恐くない変な話とかたまに混ざってるときがあるけど、それに近い雰囲気。





なんとなく、精神が疲れたときにハマりそうな短編集でした。



(疲れてたのでハマった)