大槻ケンヂ 『くるぐる使い』



くるぐる使い (角川文庫)/大槻 ケンヂ
¥500
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筋肉少女帯のボーカルでおなじみ、ハロプロファン的にはモーニング娘。主演の舞台『ステーシーズ 少女再殺歌劇』の原作者でおなじみ、大槻ケンヂさんの短編集。



全五編が収められていて、発表媒体はどれもSF雑誌。



でもSFというよりは、あとがきにあるように「超常現象青春小説」と呼ぶのが相応しいかな。





収録作は、



「キラキラと輝くもの」


「くるぐる使い」


「憑かれたな」


「春陽綺談」


「のの子の復讐ジグジグ」




どの短編も面白くて一気読み。




これまで大槻作品は『ステーシーズ』しか読んだことなかったんだけど、あちらのようにエログロの中にある叙情性が作風なのかと思いきや、割と狙った話も書けるので驚いた。



とはいえ「キラキラと輝くもの」や「くるぐる使い」は叙情性もたっぷりで、嫌な話なのに泣ける。



「憑かれたな」は大槻版エクソシスト、「春陽綺談」はタイトルからして乱歩の『パノラマ島綺談」のオマージュ。




ちなみに「くるぐる使い」と「のの子の復讐ジグジグ」は、SFファンが投票で選ぶ《星雲賞》という賞を獲ってます。



ほんのわずかしか発表してない中で、2回もこの賞を獲るのはかなり異例。



ミュージシャンとしてだけじゃなく、作家としての才能も見せつけたと言えましょう。





ただ残念なことに、この本はすでにもう絶版……。



読みたかったら、古本を探すしかないのである。




自分が探した感触では、角川の文庫版より、早川の単行本のほうが見つかりやすいかもしれない。




しかし、表題作の「くるぐる使い」だけなら、『てのひらの宇宙』という「星雲賞短編SF傑作選」に収録されているので、そちらをどうぞ。

こちらは出たばっかりなので書店でも買えます。



てのひらの宇宙 (星雲賞短編SF傑作選) (創元SF文庫)/著者不明
¥1,050
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狂った少女の悲哀……。



ということで、『ステーシーズ』が気に入った人には面白いと思うので、ハロプロファンにもおススメですw