ユッシ・エーズラ・オールスン 『特捜部Q 檻の中の女』
- 特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕/ユッシ・エーズラ・オールスン
- ¥1,050
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デンマーク産、警察小説の傑作。
主人公は、有能だが協調性がなく、短期でトラブルメーカーな男カール・マーク。
とある事件をきっかけに仕事にやる気を失ってしまったカールは、警察本部に新たに設置された部署《特捜部Q》のボスとして配属される。
ボスといってもそこに部下はなく、実質は厄介払いに過ぎないが。
《特捜部Q》とは、これまでの未解決事件を洗い直す部署だ。
1人じゃ雑用だけで1日が終わっちまうということで部下を雇うが、それがまた妙なシリア系の変人アサドである。
このアサドとチームを組んだカールは、5年前に起こった議員の失踪事件を調べ直す。
ミレーデ・ルンゴーというこの女性議員は、有能で若く、何よりとても美しかった。
一方そのミレーデは、障害者である弟を世話しながら暮らしていたある日、何者かに拉致監禁されてしまう。
それがミレーデの、5年に渡る地獄の日々の始まりであった……。
物語は、ミレーデ失踪事件を調べるカール側(警察側)と、密室に監禁されたミレーデ側が交互に描写されていく。
このミレーデの監禁度合が実に酷くて、もう読んでて気の毒でしょうがない。
ちょい前に読んだ『檻の中の少女』という本の「檻は」比喩的な意味合いだったけど、今回の「檻」はそのままの意味で「檻」。
まさに地獄だ。
「もし自分だったら」なんて、1秒たりとも考えたくないね。
そしてカール側は、カールの皮肉っぷりやアサドの変人っぷりが実に面白い。
テンポも良くて、いわばデンマーク版『相棒』とでも呼ぼうか。(『相棒』見たことないけど)
終盤は手に汗握るサスペンスで、真夜中に一気読みしてしまいましたよ。
というわけで、これは久々に大当たりの警察小説。
シリーズは今のところ、ポケミス版で4作目まで、文庫版で2作目まで邦訳されてます。
(ちなみに自分が読んだこれはポケミス版)
シリーズ2作目の『特捜部Q キジ殺し』も早速買ってこよう。