スティーヴン・キング 『骸骨乗組員』



スケルトン・クルー〈1〉骸骨乗組員 (扶桑社ミステリー)/スティーヴン キング
¥651
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もはや説明不要の巨匠スティーヴン・キングの初期短編集《スケルトン・クルー》を3分冊した中から、短編5編、中編1編を選んで組まれたこの本。



なんと言っても、『ミスト』のタイトルで映画化された中編「霧」が秀逸。



全体の3分の2を占めるこの中編は、ある嵐の晩が過ぎたあと、不気味な霧に覆われた町の中で、スーパーマーケットに閉じこもった人々の恐怖を描く。



ホラーと言っても、心理的恐怖ではなく、いわゆるパニックもの。



霧と化物の演出も上手いが、マーケットに取り残された人々の書き分けも巧み。



特に、オカルトかぶれの魔女然としたミセス・カーモディなんて、ああこういうシチュエーションだとこういう奴って必ずいるよなぁという定番の困ったちゃん。



とにかく絶望的な状況で、なんだか読んでるこっちまでイラついたり息苦しくなってくる筆力はさすが巨匠。



映画は見たことないけども、どうやら結末が微妙に違うらしいので今度見てみよう。





他の短編も悪くない。



「ウェディング・ギグ」の語り口とか、「死神」の不気味さとか、キングにしては薄めだけど好き。



「ほら、虎がいる」だけはよくわかんなかったけどw






ちなみに3分冊の残り2冊は、『神々のワードプロセッサ』と『ミルクマン』です。



1冊の短編集の中に、日本だと3分冊されてしまうほどの量を載せるのはさすがアメリカ。