年刊日本SF傑作選 『拡張幻想』



拡張幻想 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)/著者不明
¥1,365
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またしてもSFアンソロジーですいません。




毎年恒例の年刊日本SF傑作選の第5弾。



奥付で2011年に書かれた短編SF(とその周辺)の中で、編者の2人が選んだものが収録されてます。




収録順に、



小川一水 「宇宙でいちばん丈夫な糸 ーThe Ladies who have amazing skills at 2030.」


庄司卓 「5400万キロメートル彼方のツグミ」


恩田陸 「交信」


堀晃 「巨星」


瀬名秀明 「新生」


とり・みき 「Mighty TOPIO」


川上弘美 「神様 2011」


神林長平 「いま集合的無意識を、」


伴名練 「美亜羽へ贈る拳銃」


石持浅海 「黒い方程式」


宮内悠介 「超動く家にて」


黒葉雅人 「イン・ザ・ジェリーボール」


木々津克久 「フランケン・ふらん -OCTOPUS-」


三雲岳人 「結婚前夜」


大西科学 「ふるさとは時遠く」


新井素子 「絵里」


円城塔 「良い夜を持っている」


理山貞二 「〈すべての夢|果てる地で〉」





2011年に書かれたということで、必然的に震災のことや、小松左京の死、「はやぶさ」の帰還についてのテーマが多かった。



そんな中、個人的に一番良かったのは「美亜羽へ贈る拳銃」かな。



これは同人誌に書かれてものに加筆したらしいけど、商業出版していいほどの完成度でした。




前に『SFマガジン』で読んだ「いま集合的無意識を、」もやはり素晴らしい。



この2作が、前者は伊藤計劃へのオマージュとして、後者は伊藤計劃と3.11の「その後」へ繋げる宣言として、傑作でした。




他のものも、全体的におもしろかった。



第3回創元SF短編賞受賞作の「〈すべての夢|果てる地で〉」は、選評にもあるように、SFファンならばたても楽しめるけど、そうじゃないとややポカーンな部分が多い。



個人的には、ぶっちゃけよくわかんない部分もありつつ、それでもかなり楽しめました。



今後が楽しみ。





円城塔の作品は、あとで著者の単行本で読むつもりなのでここではスルー。






というわけで、もう短編SFをひたすら読むこの頃。



さすがにそろそろ長編が読みたくなってきたかも……。