山本弘 『MM9』
- MM9 (創元SF文庫 )/山本 弘
- ¥903
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これは面白い。めちゃくちゃ面白い。
一言でいうと、怪獣SF。
地震や台風のように、「怪獣」が災害として存在する世界。
そんな怪獣への対策として、気象庁特異生物対策部、通称《気特対》がある。
これは、気特対のメンバーと怪獣の奮闘を連作短編形式で描いた傑作だ。
気特対は怪獣と直接戦うわけではなく、出現した怪獣を調べ、どんな怪獣か把握して、攻撃する自衛隊に報告するのが仕事。
ある意味、戦うよりも怪獣と接する仕事である。
怪獣を扱ったSFというのは実はそんなに多くない。
なぜかといえば、あんな巨大な生物は物理的に存在しえないからだ。
しかし著者は、人間原理を応用した「多重人間原理」という架空の理論をもってしてこの問題を乗り越えた。
この理屈づけが見事で、怪獣に興味のないSFファンも燃えさせるのだ。
(※「人間原理」と「多重人間原理」がどういうものかは、本に書いてあるので読めばわかります)
怪獣SFといっても、出現した当初は「あれはなんだ?」的な感じなので、未知の異生物SFとしても楽しめる。
……いやもう、言葉でダラダラ言っても伝わらん!(←書くのがめんどくなった)
これは実におススメです。
SF好きも、怪獣好きも、そのどちらでもない人にも。
なんでこれがベストセラーとかになってないか不思議なくらい。
続編も出てるので、そちらも絶対読むしかない。