北山猛邦 『少年検閲官』



少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)/北山 猛邦
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焚書により、すべての書物が禁じられた世界に於ける殺人事件を扱ったミステリ。




この世界ではあらゆる書物が消え失せ、物語という概念が皆無なのだ。



当然「ミステリ」なんてものもなく、故に人が殺されても「自然災害の一種」とみなされてしまう。




そんな特殊な世界の中で、父親によって「ミステリ」がどういうものかを教えられて育った少年クリス。



とある閉塞的な街に辿り着いたクリスは、そこで『探偵』と呼ばれる犯罪者に遭遇することとなる。



『探偵』なのに犯罪者。



次々に起こる不可解な事件の中、検閲官の少年エノと出会う。



果たして事件の真相とは……?





的なお話。



何より素晴らしいのは、この世界だからこそ成立するトリックと動機。



普通の世界では絶対にありえないであろう動機が見事。

(トリックは、やろうと思えばできなくもない……かもしれない。誰もやらないだろうけど)




他に特徴的なのが、この著者特有の終末的な雰囲気。



これが個人的には凄く好みでした。




傑作なんだけど、単行本発売から6年経った今でも文庫化されていないのが難点か。



自分は、6年前に買ったものを今ようやく読みましたw