いやほんとマジでハロネタ書く時間がないので、読書感想を。
森晶麿 『黒猫の遊歩あるいは美学講義』
- 黒猫の遊歩あるいは美学講義/森 晶麿
- ¥1,575
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第一回アガサ・クリスティー賞受賞作。
若干24歳で教授職についた「黒猫」(あだ名)と、その付き人であるヒロイン(なぜか名前は出ない)の連作ミステリー。
《日常の謎》風ではあるけど、これは人死にも絡む。
語り部であるヒロインが、事件を黒猫に報告して、推理と共に黒猫独自の「美学講義」をしていくというパターンである。
この「美学講義」がなかなか難物で、とある読書サイトの感想ではこれが難しくて読み飛ばしたという人も多いらしい。
確かに、哲学的な思考をいじくりながらちゃんと読まないと、黒猫が何を言ってるんだかわからなくなってくるw
しかもそれは事件の核心に少なからず触れているから困る。
肝心の推理もまたそんな感じだから、事件の真相も非常に観念的なのだ。
二話あたりはまだ京極夏彦を思わせる部分があるが、五話なんてほとんど妄想じみた話だ。
黒猫の言う「美的推理」のために起きたような事件だし、厳密な意味での解決なんてできないんじゃないだだろうか。
でもそれがいい。
ガチガチのロジックで解決するのではなく、これはあくまで天才・黒猫が「美しい」と思った謎であり推理なのだ。
一方で、なんとも言えないヒロインとの距離感も気になる。
果たして恋愛に発展することはあるのか?
その辺は続きで描かれる……かもしれないから、続刊も読もうかな。(現時点であと2作出てる)
あ、あと装丁がステキです。