芦辺拓 『グラン・ギニョール城』
- グラン・ギニョール城 (創元推理文庫)/芦辺 拓
- ¥760
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タイトルに「城」とついてるだけあって、いわゆる〈古城ミステリ〉である。
ところがどっこい、読み進めていくうちに「……?」となってくる。
昔のヨーロッパが舞台とおぼしきミステリの合間に、著者のシリーズ探偵である森江春策が登場。
現代日本の大阪では、森江が瀕死の若者から「グラン・ギニョール……」という謎の言葉を聞くのだ。
とここまで書けば、ミステリ読みならすぐに「メタミステリか」とわかるでしょう。
そうです。これはまさしく、メタミステリの傑作。
説明するのがめんどくさいので詳しくは言いませんが、虚構が現実に浸食してくる興奮とでも言いましょうか。
その手のガジェットが好きな人にはたまらん一品。
後半に明かされる作中作の意味は、正直「アホかーw」と言いたくなる代物ですが、さすがにアホのままで終わるわけはなく、相応な説得力でもって締めくくられます。
一風変わった推理小説を読みたい方におススメです。