中里友香 『黒十字サナトリウム』



黒十字サナトリウム/中里 友香
¥2,100
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先ごろ、『カンパニュラの銀翼』で第2回アガサ・クリスティー賞を受賞した著者だが、実はそれ以前にこの『黒十字サナトリウム』で第9回 日本SF新人賞を受賞していたのだった。




いやー長かった。でも面白かった。



SFの新人賞受賞作だけど、中身はSFではなく幻想文学。



いわゆる、吸血鬼モノだ。




といっても、ロマンス溢れるヴァンパイアストーリーじゃなくて、もっとリアルな吸血鬼譚。



各章の時系列はバラバラに配置されているが、メインは双子の兄妹。ミシィカとレイナの2人。




どういう話か、と聞かれると困ってしまう。

とくにこれといった話はない。派手な展開もなく、吸血鬼になった双子と、タイトルにもなっている「黒十字療養所」に集まる人々(みんな吸血鬼)のお話。



映像化したらさぞかし退屈なものになりそうだけど、良く言えば饒舌、悪く言えば冗長な語り口のおかげで楽しめる。




番外編の短編が一番面白かったのはどうかと思うが、それも長い本編ありきの面白さだから仕方がない。






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