文庫で全5巻の『屍鬼』を読んでる最中ですが、諸事情によりまだ5巻目を読めないので他の本を読書。






朱川湊人 『赤々煉恋』



赤々煉恋 (創元推理文庫)/朱川 湊人
¥819
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読み方は、「せきせきれんれん」。



ホラーっぽいといえばホラーっぽいが、これは「すこしふしぎ」ならぬ、「すこしふかしぎ」な中編集。



『世にも奇妙な物語』風、と言うのが一番わかりやすいだろうか。




特に素晴らしかったのが「私はフランセス」。



著者の傑作短編「フクロウ男」を思い出すような流麗な一人称語りと、奇妙な性癖に人生を支配された人々の物語。

サイコホラーに向かうかと思いきや、存外に美しいラストに終着したのも良い。





良い小説を読むと、読み終わりに鳥肌が立つことがあるんだけど、「私はフランセス」では久々に鳥肌が立った。



物語の末尾を締める文章が綺麗だ。

流れるように読んできて、美しく終わる。

言うなれば、「声に出して読みたい」と思わせてくれる美文。



この著者の、モノローグ形式の一人称は、だから好き。





どの話もハズレがなく、おススメです。