吉田修一 『パレード』



パレード (幻冬舎文庫)/吉田 修一
¥560
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山本周五郎賞受賞作。



映画化もされた『悪人』で有名な著者。

この『パレード』も映画化され、舞台化もされた。




とにかく驚いたのは、文章の巧さ。



絶妙なユーモアと比喩、登場人物の書き分けなど、さすが有名な作家だと思い知らされた次第。

今まで読んでなくてすみませんでした。




内容的には、4人の男女がルームシェアして暮らしている中に突然舞い込んできた1人の男、その5人での生活を描く青春群像劇といったところ。



しかしそれはメインでありながらも装飾でしかない。



自分は読む前に、この本は「ホラー的」であるという前知識があった。



確かに。

明確に「ホラー」とは言えないが、ある種の恐さがある。



最終章のラスト付近でそれは明かされる。

ネタバレなしだとなんとも言い難いんだけど、例えば幽霊がどうとかではまったくないし、「やっぱ一番恐いのは人間だよねぇ」というのも少し違う気がする。



なんだろうこれは……。

ううむ……上手く言えないけど、じわじわくる。





ホラー小説ではないのに「恐い本」と呼ばれるこの傑作。



恐い要素を抜きにしても素晴らしいので、おススメです。