首藤瓜於 『脳男』
- 脳男 (講談社文庫)/首藤 瓜於
- ¥620
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第46回 江戸川乱歩賞受賞作。
約12年前に出版された本なので、テクノロジー的に古い描写は否めないか。
(それでもEメールを知らない警部さんはどうかと思うよ)
とある連続爆弾事件。
犯人と思われる男を追っていた茶屋警部は、アジトで犯人と争っている男を発見する。
その男こそ「脳男」である鈴木一郎。
彼は、「感情を持たない人間」であった……。
精神科医の鷲谷真梨子が調べる「鈴木一郎」の正体。
知れば知るほど不可解な人格。
連続爆破事件という物騒な事件が頻発するけど、この物語の主役は、タイトル通り「脳男」鈴木一郎である。
一見問題など何もなさそうに見える鈴木。
だが鈴木はしかし、情動に明らかな欠陥を抱えていた。
というところを書き過ぎると興を削いでしまうのでやめとこう。
なんとも言えない傑作。
傑作であるにはあるんだけど、どこか惜しい……。
鈴木の怪物っぷりがあまり描かれなかったせいだろうか。
どちらかといえば、真梨子の「鈴木の人格発掘作業」にページが割り当てられている。
明らかに続編を期待させる終わり方。
そしてご期待通り、続編もでてます。(すでに文庫化してる)
買ってあるけど、読もうかどうしようか考え中……。