道尾秀介 『龍神の雨』
- 龍神の雨 (新潮文庫)/道尾 秀介
- ¥662
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大藪春彦賞受賞作。
話は主に2つのパートで語られる。
蓮と楓の兄妹、辰也と圭介の兄弟。
しかし、兄妹パートがあまりにも重い……。悲しい……。
とにかく不幸が畳み掛けるようにやってくる。
そんな不幸な兄妹の物語かと思いきや、後半ではミステリー的なサプライズが待ち受けており、サスペンスフルな展開になる。
ところがどっこい、「意外な真相」が判明しても兄妹の不幸は変わらず、それどころか増々重苦しくなったような気がする。
……重い。暗い。
降りやまぬ雨によって、彼らの命運はわかれた。
傑作ではあるけども、決して楽しい気持ちになる本ではありませんのでご注意をw
この辺りまでは、作者もミステリーしてくれているけど、段々ミステリーから遠ざかってしまうのが惜しい。
どうやらミステリーよりも、「人間を描きたい」と考えてらっしゃるようです。
前にも書いた気がするけど、この作者はミステリー的手法を使ったほうが人間を巧く描けると思うんですよねぇ。
とりあえず傑作ではあるので、重い話もドンと来いという方はぜひ御一読を。