西澤保彦 『神のロジック 人間(ひと)のマジック』



神のロジック 人間(ひと)のマジック (文春文庫)/西澤 保彦
¥630
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ぬあああああああああああああ!!!




と叫びたくなるw



新本格ミステリの主要作家、西澤保彦の長編ミステリ。



さすだが。さすが過ぎるよ西澤さん。



これの前に読んだ新人デビュー作の『消失グラデーション』も似たような系統のトリックだったけど、もう完成度が違う。あっちは早々に気付いたけど、こっちはもう全然気づかなかった。見事にだま(ry





どことも知れぬ辺境にある《学校(ファシリティ)》に連れてこられ、5人の仲間たちと生活している11歳のマモル君。

それぞれ様々な国から集まってきた仲間たちと共に、外の世界とは遮断されたこの《学校》に住んで、日夜勉強と実習を繰り返す日々。

ぼくたちはどこにいて、一体なにをしているのか。

誰もがこの共同体に疑問を抱きながら順応していくなか、ある日やって来た新入生をきっかけに、世界の崩壊が始まる……。





実はこの大ネタ、某有名ミステリ作品とまるカブリしている。



パクッたとかではなくて、偶然同じ時期に同じネタのミステリが世に出てしまったわけだ。



まさにミステリの神のいたずらだけど、あちらの作品のほうが有名になり売れている。



でもちょっと待って。

あっちも傑作だけど、こっちのほうがどう考えても優れてるから。



伏線の張り方、母親の言葉に含まれる暗示、メタファー、二重の意味での《操り》、謎を引き立てるワクワク感、「もしかしてSFか?」とまで思わせるミスリードなどなど、神は細部にも宿っているのだ。



解説にもあるように、この「トリック」と作品の「テーマ」が深いところでリンクしている。

単に、大ネタ一発かまして終わりではないところが凄い。

このネタに必然性があるということ。まさに熟練のプロの仕事だ。




ちなみに、解説の「注意!以下では本書の内容に触れます」のところを先に読んではいけません。マジで。





いや~、久しぶりにこんな衝撃をうけたよ。



ベテランと新人を比べるのもどうかと思うけど、『消失グラデーション』よりすべてに於いて優れてる上に、こちらは文庫で値段も安いのでおススメですw




まさか読む本2連チャンで○○トリックがくるとは……。(←伏字の意味あるかな?w)