森博嗣 『ヴォイド・シェイパ』



ヴォイド・シェイパ/森 博嗣
¥1,890
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森博嗣初の時代小説。



だけど、そんなジャンルなんてのはどうでもいいこと。読めばそれがわかる。




まず装丁がとても美しい。画像だけでは伝わらないので、ぜひ本屋で手にとってみてほしい。

これだけでも、この本を買う価値があるほど。




あらすじとしては、ゼンという名の主人公が、師であるスズカ・カシュウの死とともに山を下り、旅をして様々な人と出会っていくというもの。



だけどそんなあらすじもまた、どうでもいいことだ。本質はそこにはない。



どこか哲学書にも似た、「思考の文学」とでも言おうか。



静かで研ぎ澄まされた、まさに刀のような小説。



きっとこれからもっと磨かれ削られて、さらにシャープなものとなっていくに違いない。




読みやすいからといってサラッと読んでしまうのはあまりに惜しい。



ゆっくり、じっくりと、思索に耽りながら読むべき1冊です。






ここで気に入った文を引用↓




《あのまま山にいたら、安らかではあったかもしれないが、変化する自分という、大事なものを失っていただろう。カシュウが山を出ろと言った理由がここにあったのだ》




《負けることで強くなれる》ということに気付いた主人公が、これからどう成長していくのか見守っていきたい。




ちなみにシリーズ二作目が最近出た。



まだ買ってないので、早く買わなくては。

そちらも装丁が美しい。