米澤穂信 『ふたりの距離の概算』



ふたりの距離の概算/米澤 穂信
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《古典部シリーズ》の第五弾。



今回は、二年生に進級した古典部に新入部員が入るという展開。



しかしいきなり波乱があった。入部を予定していた大日向友子が、本入部直前になって「入部しない」と言ってきたのだ。



省エネ主義を掲げる奉太郎だが、自分のせいで入部をやめたと思っている千反田えるの誤解を解くために、マラソン大会の最中に事件の謎を解く。




なんというか、良い意味で、なんとも言えない読後感だった。



他愛もない話のようでもあるし、人生に於いて重要な話でもある。



学生時代に「友達」に関して色々と悩んだことがある人にとっては、アレやコレやを思い出してしまうかもしれない。




徐々に進展のある古典部の4人も読みどころ。



あの二人はどうやら付き合い始めたらしいし、終章で「問題はそうしようと思う意思があるかどうか」と自分の省エネ主義な信条を自らに問いかける奉太郎も興味深い。




二年生に上がったということは、このシリーズは登場人物が成長していくパターンだということだ。



ということは、4人が卒業してしまったらシリーズは終了なのだろうか。



4人の成長を見たい反面、寂しくもある。



だから、早く続きが出てほしような出てほしくないような……。