北山猛邦 『『ギロチン城』殺人事件』
- 『ギロチン城』殺人事件 (講談社文庫)/北山 猛邦
- ¥760
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ここに貼った文庫版ではなく、七年前に買ったノベルス版を読みましたw
今でこそ『音野順シリーズ』とか『猫柳十一弦の後悔』みたいなゆるいミステリーも書いている著者だけど、初期は『物理の北山』と呼ばれた物理トリックの名手なのだ。
メフィスト賞出身で、終末的な雰囲気が濃厚なのも特徴の『城シリーズ』の第四弾が本書。
高い城壁で囲まれた『ギロチン城』を舞台に、「首狩り人形」と「ギロチン」と「スクウェア」が事件のキーとなる。
「スクウェア」とは、山荘の怪談などで有名なアレだ。
四角い山荘の中、灯りがなくて真っ暗な状況で、四隅に一人ずつ4人が立つ。
一人が壁沿いに歩きだし、次の角にいる人の肩を触る。そしてそこに留まる。
触られた人は歩きだし、次の角にいる人に触る。こうして同じように続けていく。
このリレーは成立するはずがない。それぞれが場所を一つ移動しただけで終わるはずだからだ。
だがそれがなぜか成立してしまったとき、それは見知らぬ「第五の人物」が紛れ込んでいるということなのだ。
その第五の人物こそ幽霊で……。
といった感じ。これがのちに重要になってくる。
まさかあんな規模のでかいトリックだとは。久々にこういうの読みましたよ。
トリックもさることながら、作品の雰囲気も良い。
外の世界とは完全に隔離された『ギロチン城』と、そこに住むちょっとズレた人々。
かつて首を切断されて死んだ城の主。死体の傍には、主が探し出した「首狩り人形」。
驚きのミステリーが読みたいときにおススメです。
著者の城シリーズは他に、『クロック城』殺人事件、『瑠璃城』殺人事件、『アリス・ミラー城』殺人事件がある。
全体的には『クロック城』が好きだけど、一番驚いたのは『アリス・ミラー城』だ。これはホントすごかった。「そんなのアリかよ……」と茫然としました。
全部文庫で出てるのでどうぞ。
そろそろ城シリーズの第五弾を出してほしいところ。