森博嗣 『科学的とはどういう意味か』



科学的とはどういう意味か (幻冬舎新書)/森博嗣
¥798
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また本の紹介で申し訳ない。しかもまた森博嗣。



しかしこれは小説ではなく、新書。



この本、ぜひ日本人全員が読むべき良書だと思う。



簡単に言うと、『科学』というものを、自分の生活から無条件に排除してしまっている人々への警笛。

「科学をないがしろにすると損をするし、時には命を脅かすことさえある」ということ。



東日本大震災についても書いてある。

『感情』や『人情』も大事だが、事態を本当の意味で収束できるのは、『科学』をおいて他にないのだ。



教育についても少し書いてある。

子供の頃、ちょっとつまづいただけで数学や理科を『苦手なもの、嫌いなもの』と思い込んでしまった人は多いのではないだろうか。

かく言う自分もその一人だが、それがどんなに安易でもったいない行為だったかが身に沁みた。

ただ漢字や記号や言葉を覚えるだけ、というのは、実は何も学んでいないのかもしれない。



全体的なテーマとなるのは、『どういうことが《科学》だと呼べるのか』というものだ。



実験をすれば科学的なのではない。ものを知っていれば科学的なのではない。言葉を覚えれば科学的なのではないのだ。



この本には、その答え(に近いであろうこと)が書いてある。



読んで損はない。もちろん、読んだ後に自分で考えなければ意味がない。



その考えるきっかけをくれる、良い本である。



被災地の現状を嘆いて、原発の人間に怒りをぶつけている暇があったら、これを読んで、そして自分で考えてみよう。



科学的であることは、自分の人生にとって大いなるプラスになるのだ。