麻耶雄嵩 『鴉』
- 鴉 (幻冬舎文庫)/麻耶 雄嵩
- ¥800
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新本格ミステリ界の異端児、麻耶雄嵩の傑作。(らしい)
展開がやや地味で、読むのにちょっと苦労した。
確かにラスト付近のトリックはこの人らしい歪みを持ってるけど、なんかイマイチな感がぬぐえない。
途中でなんとなく気付いたし。
メルカトルの浮きまくったキャラクターでなんとか救われるけど、メルがいなかったら地味過ぎて微妙なものになってたかも。
この人の作品はやはり、デビュー作の『翼ある闇』か、超問題作の『夏と冬の奏鳴曲』が好き。
最近は、こういう本格ミステリが、昔よりも楽しめなくなってきてる。
素直に読んでトリックに驚けばいいんだけど、今までたくさん読んできたせいか、途中でなんとなくトリックや犯人の見当がついてしまうのだ。
(自慢しているわけじゃなくて、今までの読書で蓄積されたデータが多いから必然的にそうなってしまう)
本格ミステリがよく言われる批判に、「人間が描けてない」というものがあるが、昔はそんなの気にならずに楽しんでいた。
でも最近は、「確かに人物に魅力が無さ過ぎるよねぇ」と思うこともしばしば。
もちろんそうじゃない本格ミステリもたくさんあるけど。
ゲーム的なミステリは、もう飽きられてきたのかもしれない。
最近はトリックや形式よりも、展開やキャラクターに焦点が当てられたものが多い。
これも時代の流れかw