早瀬乱 『サロメ後継』



サロメ後継/早瀬 乱
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この本、文庫化に際して『王女の渇き』と改題されている。



王女の渇き (角川ホラー文庫)/早瀬 乱
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中身にも若干手が加えられているようだが、自分が読んだのは単行本の『サロメ後継』なので、そちらの感想を。




「切断された手首」や「伝染する欲望」など、モチーフはホラー風味たっぷりだが、展開が地味でテンポもあまり良くない。話自体は面白かったけど。



ホラーやミステリーを書くには、どこか常人には理解し難い『異常さ』や『ズレ』がないと、退屈なものになってしまう。



それらがちょっと足りなかったかなぁ、という感じ。



じわじわと侵食する前半部の恐さは良かった。




あと、やはりタイトルは『サロメ後継』のほうが良いのではないか。



『王女の渇き』だと、誰が『王女』で、なんの『渇き』なのかが半分あたりでわかってしまい、興を削がれる。



今月末に『エコーズ』という大作が出るようなので、そちらに期待。