トム・ロブ・スミスの、『チャイルド44』



チャイルド44 上巻 (新潮文庫)/トム・ロブ スミス
¥740
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英国推理作家協会賞 最優秀スパイ・冒険・スリラー賞をはじめ、数多くの文学賞に輝き、日本でも《このミステリーがすごい!》第1位になるなど、評価が高いミステリー。



スターリン統制下のソ連。



《理想の国ソ連》には、連続殺人など存在してはならない。



国家の歪んだ思想に隠され、殺人鬼は子どもを殺し続ける。



国家保安省に勤める主人公のレオは国家に忠誠を誓う英雄だったが、副官の罠にはまり、民警へと降格されてしまう。



失意の中、殺された子どもを見て、保安省時代に揉み消したとある殺人事件を思い出し、独自の操作に踏み出す。




とにかく息苦しい時代。



どこもかしこも監視され、中世の魔女狩りさながらに無実でも逮捕され、逮捕されたが最後、生きて帰ることはない。



そんな嫌~な時代を舞台に、触れないほうが身の為な連続殺人鬼を追い、国家から追われる主人公の成長と再生の物語だ。



こんな時代のこんな国に生まれてなくてホントよかったと心から思えるw



重苦しい物語だけど、こなれた訳文で実に読みやすい。

グイグイ引き込まれる。



後半は、シリアルキラーもののミステリーとしても傑作。




この本、世界中で翻訳されているが、なんとロシアでは発禁書になっているらしい。



今この時代に、小説が発禁になるとは。



どんだけ後ろ暗いんだよロシア(旧ソ連)、と思わずにはいられないw




続編の、『グラーグ57』も邦訳されています。