綾辻行人の、『Another』
- Another/綾辻 行人
- ¥1,995
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著者久々の本格ホラー&ミステリ。
昔、とある中学の三年三組に『ミサキ』という名の人気者がいた。
だがある日、ミサキは事故で死んでしまう。
悲しみ嘆くクラスメイトたち。
そこで誰かが言い出した。
「ミサキは死んでなんかいない。今もほら、ここにいるじゃないか」
そうして、ミサキの死を認めたくなかったクラスメイトたちはみな、ミサキが生きている《フリ》をし始めた。
そして卒業式で撮った集合写真。
そこには、いる筈のないミサキの姿が写っていた……。
こうして《三年三組の呪い》は始まった。
基本的には学園ホラー。
最初から最後まで『超自然的』な出来事が起こる、紛れもないホラーなのだ。
しかし、ラストに本格ミステリの驚きが待っていることが素晴しい。
久々に本を読んで驚いた。
この著者らしいトリック。
「そういえば『十角館の殺人』を書いた人だった」と唸った。
それでもホラーとしての幻想性が失われないところがさすがである。
こういったトリックは、ただトリックを放り込めばいいというものではなく、それに至るまでの物語や設定、登場人物のキャラクター、描写、その他様々な伏線があってこその驚きなのだなと感嘆した。
かなり分厚い本だが、長いとは感じなかった。
ちなみにコミック版も出ている。
綺麗な絵が大変素晴しい。
まだ1巻なので、続刊が楽しみだ。