伊藤計劃の『ハーモニー』



ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)/伊藤 計劃
¥1,680
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2009年に亡くなった、伊藤計劃氏の最後の長編。



〈大災禍〉と呼ばれる世界的恐慌のあと、WatchMeという名の体内モニタリングシステムが普及した21世紀後半。



病気は無くなり、健康が第一となる、善意で満たされた倫理観の福祉世界になった。



そんな世界に息苦しさを感じる二人の少女。

御冷ミァハと霧慧トァン。

世界に抵抗するために、二人(ともう一人の友人)は、餓死を選ぶが……。



とまぁ、あらすじ紹介だけで、長々となりそうなので、この辺で。



この物語の最後に訪れるカタルシスは、果たしてユートピアなのだろうか、はたまたディストピアか。そのどちらでもないのか。



著者はこの本を、病床で執筆していたという。

どういった想いで書いていたのか。やはり考えてしまう。



伊藤計劃の新刊がもう読めないことが悲しくてならない。