佐藤友哉の『子供たち怒る怒る怒る』



子供たち怒る怒る怒る (新潮文庫)/佐藤 友哉
¥540
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著者が、エンタメ系から、文学系にシフトし始めた頃の短編集。



一番読み応えがあるのは、表題作の中編、『子供たち怒る怒る怒る』だと思うが、



個人的に好きなのは、『慾望』という短編。



ある日突然クラスメイトの何人かが、マシンガンを乱射して、生徒を殺しまくる。



なぜこんなことをするのか、と問い詰める教師。



しかし、犯人の生徒たちに、理由は無い。



まったく無いのだ。



微塵も無い。これっぽっちも無い。絶対的に皆無だ。



悲しみも喜びも憂いも苦しみも快感も陶酔も悦楽も後悔も逡巡もトラウマも、まったく無い。



なんの理由も無く、マシンガンで殺しまくる。



仲間と談笑しながら、殺しまくる。



この世で最も恐ろしい人間の姿が、そこにはある。



そして、それに理由は無い。