- 山本弘の『神は沈黙せず』
- 神は沈黙せず〈上〉 (角川文庫)/山本 弘
- ¥700
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ひとことで言うと、「神はいるのか、いないのか」というSFだが、それ以外にも、UFOや超常現象、宗教やオカルトや超能力などに関する考察が目白押し。それ系のノンフィクションを読んでいるみたいな気分にもなる。
基本的には、科学や論理でそれらを懐疑的に見ていくのだが、やがて、論理では説明できない現象が起き始める。
空から降ってくるボルトや、人間の子供。
月の表面に浮かぶ、人間の顔。
そして、主人公の兄は、遺伝的アルゴリズムの研究中に神の意図に気付き、「サールの悪魔」という言葉を残して失踪する。
宗教的、オカルト的ではなく、論理的、合理的に導き出される『神』の正体。
もしこれが実際に起き、この本と同じように解明されたとしたら、人類はそれを受け入れられるのだろうか。
多くの人間が『神』に精神的に依存している現在、それは少々荷が重い結論かもしれない。