殊能将之氏の『ハサミ男』



ハサミ男 (講談社文庫)/殊能 将之
¥770
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読んだのはだいぶ前だが、最初はあまり面白く感じられなかった。



ミステリーとしてのトリックに早い段階で気づいてしまったからかもしれない。



そのせいで、中盤からは、答え合わせをするような読み方をしてしまったのだ。



そして、予想通りのトリックに、満足感と失望感を味わって終わった。



しかし、しばらくたってからなんとなく再読してみて、作者のセンスの素晴らしさに気付いた。



登場人物、特に、主人公と『医師』、それに殺された女子高生などのキャラ造形のセンス。

文章のセンスや、雰囲気のセンスなどが、まるで海外の名作のような素晴らしさなのだ。



オチやトリックはどうでもよくて、とにかくこの素晴らしくゆがんだセンスを味うのが良い。



映画にもなったらしいが、そちらは見ていないのでわかりません。