パナマとコロンビアの国境地帯に広がる「死のジャングル」と呼ばれるダリエン地峡 | 熱帯雨林を歩く

パナマとコロンビアの国境地帯に広がる「死のジャングル」と呼ばれるダリエン地峡

Rainbowtown FM・Stand by Me (レインボータウンFM) 

20246月13日(木) 14:00~ 15:00  

出演者フリーライター・上島善之&パーソナリティ・二喬礼

 

パナマとコロンビアの国境地帯に広がる「死のジャングル」と呼ばれるダリエン地峡

 

「死のジャングル」と呼ばれるダリエン地峡をかつて訪れたことがあります。現在、ここは南米からアメリカを目指す移民たちの通路となっています。全長60㎞の地峡は湿地と熱帯雨林におおわれた過酷な環境の中で、多くの人が力尽きて亡くなっているといいます。

 今回はダリエン地峡とはどんなところか、パナマシティからミニバス、トラック、船を利用して訪れた様子を中心にお話します。

 

・北米大陸・パンアメリカハイウエーの最終地の町ヤサビへ

・ダリエン地峡の村でお祭りがおこなわれていた

・世界遺産のダリエン国立公園

・現在のダリエン地峡の現状は

 

下記のHPので聴くことができます。画像も見ることができます。右上のYouTube Liveをクイックしてください。

http://885fm.jp/timetable

 

 

 

空から見たダリエン地峡の森

 

 

エル・リアルの村のパレードに参加していた先住民の子どもたち 全身に木の実の汁を使って縞模様が描かれている

 

 

パナマとコロンビア国境地帯に広がるダリエン地峡を目指す。ここには、湿地帯から熱帯林帯、最高峰セロ・タカルクナ・Cerro Tacarcuna(標高1845m)の斜面に広がる雲霧林帯と変化に富んだ森があり、パナマ国鳥のハーピーイーグル(オオギワシ)をはじめ、多くの動植物が生息している

 

 

ここでミニバスからトラックに乗り換える
 
 
 まずは、パナマシティにある国営バスターミナルから午前4時にミニバスで出発。パンアメリカンハイウェイを南下しおよそ6時間でメェテェティに到着した。
 ここでトラックに乗り換え、およそ2時間で川辺の小さな村ヤビサに着く。雨季の道はぬかるみ、かなりハードな道だ。ヤビサは北米大陸を走るパンアメリカンハイウェーの最終地だ。
 道があるのはここまでで、その先には世界遺産にも登録されているダリエン国立公園がある。

 

 

 

 

 

パンアメリカンハイウェー北米大陸南の最終地ヤビサ

 

 

ホテルからの眺め

 

 

夜雨が降ってきた

 

 パンアメリカンハイウェーだが、南北アメリカを縦断する道路をつくるために密林を切り開くという開発計画があった。しかし、1980年に国立公園に指定され、計画はなくなった。
 そのため自然環境は守られることとなったが、この地域に生息するオオギワシ、カピパラなどが密猟などによって滅少しているという。
 また、密林と湿地帯のため警察や軍隊の管轄が及ばず、ゲリラや麻薬取引など治安上危険な地域ともなっている。 

 

 

ヤビサから船でエル・レアルに向かう

 

 

 ヤビサにはホテルが一軒あり、ここで一泊した。さらにダリエン国立公園の入りの村エル・レアルまで行きたいのだが、特に定期便の船はなく、船着き場で交渉

 

 

パナマ最大の川リオ・トゥイラ(Rio Tuira)上流 ボートが重要な交通手段となっている。岸辺にはダリエン地峡の森が続く

 

 

川幅は100mほどで、豊かな水が流れている。岸辺は森に囲まれ、うっそうとしている。時々低い山が見える。どんよりとした空が森の上に広がり、ときおり林冠に霧がかかってくる

 

 

まあ、何とかなるだろうとボート乗り込むと、コーラやプロパンガスが積まれており、これらを村に届けるそうだ。よいしょと荷物の間に座り込む

 

 

50分ほど走るとエル・リアルに着いた

 

 

 

 岸辺には家もなく、ほんとうに村があるのか不安に思いながら、細い道を歩くと突然大勢の人が集まっている広場に出た。華やかな雰囲気にまるで「ここ何処」、と戸惑ってしまった。
 実はこの日の11月10日はパナマ「独立第一声記念日」で、ダリエン地方の各地から集まった人々によるお祭りが行われていた。

 

 しばらく歩いていると国家警察官が声をかけてきて、警察所に連れて行かれた。警官は防弾服にマシンガンを携帯し、まるで軍隊のようだ。重装備の警察官がいる警察所の中で緊張していると、訪問者は登録が必要とのことだった。尋問でもされるかと思っていたが、ホットしたついでにホテルを尋ね、若い警官にそこに連れて行ってもらうことにした。村の中心地には公園があり、その周りにはホテルや病院、学校などがある。

 

 

 

 

 

 

彼女らはチョコ族で全身みごとな模様のペインティングをしている。これはイレズミではなく、木の実の汁で描くそうだ。

 

 

ホテルの部屋は祭りでほぼ満杯。やっとあった部屋は、壁に隙間あり、トイレと風呂はバケツの水。それでも、ホテルのオーナがご馳走してくれたビールを持って、ホテルの前でパレードを待つ。派手なパレードが次から次にやって来る

 

 

村のメイン通り 祝日の翌朝、夜更けまでにぎわっていた通りにはまだ人影が見えない
 

 夜になり村を歩くと、人々の家から灯りが漏れ、あちこちで宴会が行われている。ただ、明るいのは村の中心の一部で、周りは真っ暗な森が広がっていた。
 ホテルではパレードに参加していた青年たちと一緒で、彼らは別の村からお祭りに参加した高校生で、明日ボートで帰るそうだ。
 翌朝、村を散歩するが周りは川と湿地帯と森に囲まれ、ここだけが文明と接しているかのようだった。

 

 

椰子の葉の繊維を使って編んだ籠。編み目も細かく硬くてに丈夫。おみやげに買ってきた

 

 

闘鶏の様子を見せてくれた

 

 

村唯一のレストラン

 

 

今回残念ながらダリエン国立公園を訪れることができなかったが、それでも、偶然のお祭りを楽しみ、食堂で常連と一緒にビールを飲み、闘鶏の話を聞かせてもらうなど楽しく過ごした

 

 

船着き場 パレードに参加した人々が、次から次ぎに帰っていく。川の向こうには高床式の家が見える

 

 

エル・リアルの飛行場 原っぱに短い滑走路があるだけだ。飛行機は、エル・リアルからパナマシティまで、20人乗りの小型機が飛んでおり、約45分で着いた

 

 

パナマシティ

 

・現在のダリエン地峡は【危険度】はレベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)となっています。

更新日 2023年06月23日

 

 

〇メモ パンアメリカンハイウェイは、南北アメリカ大陸の国々を結ぶ幹線道路網で、一般に本線とされているルートは、アラスカ州 フェアバンクス (Fairbanks)を起点に(さらにそこより北のサークル(Circle )という北極圏 に近い街を起点とする場合もある)、北米大陸 西岸から中西部を通ってメキシコ から中米 に抜け(ダリエン地方のように、一部道路が分断されている地点がある)、南米大陸 の西岸を通りチリのサンチアゴから東へとルートを変えてアンデス山脈 を横断し、ブエノスアイレス 、さらにはそこから南下して大陸南端のティエラ・デル・フエゴ (Tierra del Fuego)に至るコースである。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

 

1974年、カナダのバンクーバーから北米大陸北の最終地点フェアバンクスを目指しました。2007年、南の最終地ヤビサを訪れ、ようやくバスによる北米大陸の縦断を終えました。その後、南米大陸をバスでエクアドルからマゼラン海峡にあるプンタアレーナスまで走破。やっと南北アメリカ大陸を縦断するパンアメリカンハイウェイを走破する夢がかないました。

 

 

 

スマホで読む

 

『熱帯林を歩く2』-東南アジア・オセアニアの熱帯林ウォーキングガイド-が旅行人から発行されました。上島善之(Uejima Yoshiyuki)が約10年をかけて、東南アジアとオセアニア州の35か所の熱帯林を取材しました。『熱帯雨林を歩く』に次ぐ『熱帯林を歩く2』は、今回電子書籍版で、416ページあります。緑におおわれた熱帯林のウォーキングを、ぜひお楽しみください。

Amazon Kindle 価格: ¥1,320(税込)

https://www.amazon.co.jp/dp/B0BRRKZDLQ

"Tropical rainforest walking guide2" A walking guide to the rainforests of Southeast Asia and Oceania was published by Ryoko-zin. Yoshiyuki Uejima researched 35 tropical rainforests in about 10 years. Following "Walking in the Rainforest", this time it's an e-book version. Please enjoy walking in the rainforest with "Walking in the rainforest 2".

Amazon Kindle ¥1,320

https://www.amazon.co.jp/dp/B0BRRKZD