かなり前のことですが、こんな日記を書いた。
一時帰国の際、実家から持ち帰った祖父の日記を元に、当時、祖父を取り巻いていた、アメリカへ渡った人々の記録を辿ることが出来た。
ある日、英会話の先生との雑談の中で、そのことを話したら「それってお爺さんからあなたへのGiftだよ」と、とても感動された。
またある日、別の人にその話をしたら、Ancestryというサイトを教えてもらった。
これは、家系図作成をサポートする米国最大のサイトらしく、調べたい人物の名前を入力するとその人物に関係する公的資料や写真などが出力され、その人物に関わりがある人々と繋がることができるのだ。
その存在を知った時は、そこまで調べなくても良いかな、と思った。
血が繋がっているといえど、明治時代の人たちの話。
日本に残った私たちには、私たちの人生がある。
そもそもこの年齢で、先祖がどうとか言うこと自体が恥ずかしいし、何より、深く知るのが怖い、と思ってしまったのだ。
ただ、私のアメリカ生活の心の持ちようや考え方を変えてくれたのは、彼らの人生に出会えたからだった。
考え方を変えてから此処での日々を重ねるうちに、
彼らはどんな気持ちで生きていたのだろう。
今、ここにいたら彼らはどう思うだろう。
そんな気持ちがふと浮かび上がるようになった。
そして、私を変えてくれた当時の彼らの足跡を辿りたいと思い、私はAncestryに祖父が残した家系図を入力した。
すると、あっという間に関連する資料が溢れ出てきた。
・出航日、船名、人物の特徴
・当時の職業
・家族の死亡届
など、当時の人々の手書き資料が、私の目の前に溢れた。
本当に、あの時代にここで生きたんだな、と思いながら自分の手元にある資料と突合しながら読み込んでいると、次は何枚かの写真が現れた。
彼らの家族写真だった。
こういう方達だったんだ、と思いながら、想像していたよりもしっかりした生活を築いていたように見え、安心した。
その中の一人は、祖父が残した人物の写真と酷似しているように見えた。
どなたが大切に保管し、更新してくれているのだろう…
そう思いながら、恐る恐る、写真を残してくれた人の家系図を見ると、私の祖父が残した家系図と一致した。
正確に言えば、祖父の家系図の続き、だった。
名前も、日本人とはかけ離れているにも関わらず。
自分が気がつかないだけで、血の繋がる人たちが系譜を紡いでいることを知った日だった。
この国の、あらゆる場所で。
この人達が、私を変えてくれたんだ。
先生の言う通り、祖父の日記はGiftだった。
