不登校、もしくは引きこもりをしていた人が
私に家庭教師を依頼して来られます。
私はおよそ一月を一単位として、
課題を次々に出していきます。
起きられない、という人なら
はじめの一月は毎週決まった時間に席につくことをやってみよう。
そして次の一月には、それを午前中にしてみよう。
などというようにです。
そうすると一年間で約12個、今までできなかったことが
少なくとも出来るようになります。
こういうことを繰り返していると
次第にアルバイトとか資格とか
今まで手を出しにくかったものに関しても
トライしていくことになります。
そうなったときに最初の壁にぶち当たります。
それは
「過去と現在との差に直面し
『どうしてもっと早くにしておかなかったのだろう』」
という感情です。
アルバイトもするようになった
車の免許も取るようになった
いろいろな勉強もするようになった
できることが増えれば増えるほど
何もしてこなかった、時間を無駄にしてきた、
と過去を悔やむようになります。
そのときに落ち込みはかなり大きいです。
生徒さんがそうなったときは
まずはそのことをきちんと受け入れてもらいます。
もしかしたら何も手に付かなくなるかもしれません。
それでも、いったんはちゃんと考えてもらいます。
その後で、「何もしてこなかったということはない」
ということを説明します。
どんな過去を送ってきたとしても、
それらはすべて「経験」です。
周りから見たら、もしかしたらダラダラしているとか
思われるかもしれませんが、
その間ものすごく毎日悩んで、
死にたくなったり、
薬を飲んだり、
暴れたり、
リスカをしたり。
そういうのって、大事な大事な「経験」です。
僕は生徒さんによく言うのは、
「君たちは、僕よりもよっぽどいい先生になれる」、
ということです。
やっぱり気持ちが分かるというのは大きいです。
そしてそれだけの経験をしているというのは
知識しかない人に比べても
相手に与える安心感は違います。
そして説得力も増します。
たとえどんなことであっても、
一見何もしていなかったように見えても、
過ごしてきた過去は皆、「経験」なんです。
「過去」の修正は効きませんが、
「経験」は未来に生かすことができます。
そう考えられるようになると、
「現在」と「過去」に差はなくなります。
そこに気づくことができたら
それまでもしかしたらコンプレックスに感じていたことも
大きな大きな「武器」に変わります。
僕自身も中2の一年間に不登校になって、
そのことをしばらくの間コンプレックスに感じていました。
高校から知り合った人には、誰にも話しませんでした。
けれど、あるとき、お世話になっていたお医者さんから
年賀状で「卑屈になることはない。胸を張りなさい」
と言われました。
そのときから、人前でもちゃんと話すようになりました。
そういう「経験」から、今の仕事をしているのだと思います。
そう考えられるようになるまで
もちろん人それぞれかかる時間は異なりますが、
僕はそのことを
何度も何度も伝えたいと思っています。
未来に生かせない「経験」はありません。