捲ったブルーシートの先には…なんと青空が広がっていた(笑)

両側には壁はある、上側にはかろうじて半分程はトタン屋根が架かってはいるが、後ろ半分には南国の濃紺なる青空が見えている。

リビングから二階に仮掛けの階段を上がる、前部にはまだ壁のペイントが済んでいないルームがあり、後部からはスッパリと切り落とした様に何も無い。

つまり家半分は出来ているが、半分は全く無い。

確かに工事中には間違いない、が…日本の感覚だとまだ住む状況では無い。

後々からフィリピンの住居事情が分かってきて理解してくるのだが、フィリピンではバハイが未完成でも住んでしまう事もあるらしい。

まさに此れが其の状況であった、未完成の部分はトイレにシャワールームにダイニングにキッチンそして二階の居室。

トイレとシャワールームは、これまたブルーシートで囲った簡易設備に。

キッチンは小さなシンクが土間に置いてあり、その横に朽ち果てそうな木の台座に一口ガスコンロがお飾りの様に載っていた。

ジェ〇ーは私の驚いた様子に、小さな声で「まだこのヴィレッジはセール始めたばかりでしょ、全部出来てないからね、もうちょっとかかる。」と囁いた。

結局はこれから3ヶ月位して完成したのだが、その後に更に私が資金を出して表側に小さなベランダとサリサリルーム、二階の裏側には物干し場を増改築した。

此処には約3年程住み、今は賃貸物件として収入源の一翼を担ってくれている。

このヴィレッジの住人は、フィリピンで増えつつある中間層の方々だ。

OCWを始め、メトロバンク勤務の人や、そこそこの企業に勤務している人、自営業で上手くいってる人など。

だが彼らも金が貯まったり所得が上がれば、更に上級な居住地に移っていく筈だ。

昭和30年代のエネルギーを感じる、一生懸命働き暮らしを向上させようとする人々が其処にはいた。