仕事柄、1日に百数十人のお客様と顔を合わす。

その内30~40人程は直に会話が出来る、短い作業時間の中でコミュニケーションを取らなければならないので慌ただしいのだが。

しかし其れでも、今までに何人かのフィリピン絡みのお客様とは懇意になれた。

昨日も介護と派遣関係をやってらっしゃる社長がおいでになり、帰りぎわに少々話させて頂いた。

介護ではフィリピン人を…との考えもあったが、現行法ではビジネスとして成り立たないとの事。

しかしフィリピン人を何とか介護方面にとの考えは強い。

社長はこう仰った…
「介護に当たるにはヘルパーから何から総て法的資格を持っていなければ出来ない、確かに法的資格がある事は質の安定などで必要だ、しかし問題は介護に当たる人の気持ち、つまり心の問題がある、日本人の介護職総てでは無いが、一体どれほどが心底お年寄りに優しい気持ちで接しているだろうか、介護会社を経営し介護職の人々を見るにつけ、その様な想いを感じる」…と。

そこにいくとフィリピン人は違う…と。

フィリピンの国民性もあるが、フィリピン人のお年寄りに対する優しさや考え方は、長年に渡り大家族制により育まれてきたもの。

だからこそフィリピン人を何とかして介護職に就けたいが、今の制度ではどうしようも無い…と嘆いた。

フィリピン人のホスピタリティは或る方々に言わせれば、金がある間だけと云う。

果たして本当にそうなのだろうか?

勿論その様な人々もいるではあろう、しかし現在の日本人とフィリピン人を比較した場合、明らかにフィリピン人の方がお年寄りには優しい筈。

ただ間違えないで貰いたいのは、フィリピン人だからといって無償の奉仕を永遠に過度に求めるのは無理というもの。

マザーテレサでは無いので、他人に対し無償の愛情を惜しみなくなんてのは出来る筈も無い。

ある一定の報酬ならば日本人と比較した場合は、圧倒的にフィリピン人の方がホスピタリティマインドは上だと思う。

日本人も根源は優しい、だが国民性なのか其の優しさを出さない。

まあ今は優しく無い人も多いが(笑)

例えば電車に乗っていてお年寄りが来る、心で思っていてもサッと席を譲る事が出来ない。

フィリピン人は其れが自然に出来る。

この自然にナチュラルにってのが大事なんで、これが出来る出来ないは天地の差になる。

以前に嫁さんと映画館に行った時に、身障者が入って来られた。

前側の席に座ろうとして、転けそうになりながら通路を歩いていく、嫁さんは助けようと席を立とうとしたが余りにも遠い位置だったので私が引き留めた。

嫁さんは信じられないと何度も言い、日本人の冷たさを繰り返し言った。

嫁さん自身は在日10年で、かなり日本人を理解している。

其の嫁さんが「日本人は何故助けないのか、目の前で足が不自由で歩くのに大変な思いをしている人がいるではないか、何故立ち上がって手を貸さないのか、フィリピンだったら何人も立ち上がり手を貸す、日本人は何故そんな事すら出来ないのか」

日本人は手助けをナチュラルに出来ない国民性、悲しいかなである。

お客様の社長もそんな事を判っていての、介護へのフィリピン人の関与を期待しているのだが。

社長は日本の法制度が変わってきたら、是非とも君の力を借りたいから其の時は頼むと言われた。

私としてもフィリピンやフィリピン人が役に立つ事なら、骨身は惜しまない。

色々なお客様と知り合い、フィリピン絡みで話しが盛り上がり、一部はビジネスに発展していき、或る面では友人関係になっていく。

余り良くは言われないフィリピンだが、私にとっては大事な場所だ。